即書評

外来種は本当に悪者か?の感想

【外来種は本当に悪者か?: 新しい野生 THE NEW WILD】は2016/7/14発売のフレッド・ピアスさん(著),藤井留美さん(翻訳)の書籍です。

外来種は本当に悪者か?の感想・ポイント

日本の外来種関連の書籍は、「外来種、だめ!!」って立場が多いですが、本書はちょっと違います。

自然の完璧かつ絶妙なバランスが、外部からの影響でいとも簡単に崩れてしまうのであれば、侵入者を寄せつけないようバリケードを築かなくてはならない。環境保護主義者の多くはそうするべきだと叫んでいるし、私自身も長いあいだそう信じていた。しかしこの前提が誤っているとすれば、外来種を排除しても意味はないし、かえって逆効果になるかもしれない。しかも外来種が入りこみ、繁殖の機会をうかがうのは、チェーンソーや農機具で荒らされ、汚染や気候変動で痛めつけられた生態系だ。そこに加わる新しい種は、傷ついた自然を癒やし、活力を取りもどしてくれる存在になりうる。

外来種は本当に悪者か?より

この考えが正しければ、在来種を守ることは目先の対応にすぎず、外来種を積極的に認めるのが真の環境保護になります。

本当は人間が悪い

グアム島の北にあり、同じくアメリカ領のロタ島でも、森に生息する在来種の鳥が激減した。当時この島にはヘビはいなかったため、生息環境が失われたことが原因とされている。たしかにミナミオオガシラが入ってこなければ、グアム島はもっとたくさんの鳥でにぎわっていただろう。しかし、もしアメリカ軍の駐留による自然破壊がなければ、ミナミオオガシラはこれだけ増えなかったはずなのだ。

外来種は本当に悪者か?より

「外来種を持ち込むのは人間だから人間が悪い」
と言うレベルのお話ではなく、
「人間が壊した環境にうまく溶け込んだのが外来種。そもそも人間が手を加えなければ、そこに外来種は入り込んでいない」
みたいな論理ですね。

確かに人間が手を加えている時点で元の状態ではないわけですよね。
人間が手を加えた状態は在来種が住みにくく、外来種がたまたま住みやすかっただけ。
みたいな可能性もあるわけです。

外来種が棲みつくのは攪乱された場所、すなわち墓地や畑、花壇を縁どる寄せ植え、線路敷設のための切り通しなどだ。丈夫でなく、環境の変化についていけない植物だと枯れてしまう場所も、外来種のおかげで自然が保たれている。ピアマンも著書『雑草”Weeds”』のなかでこう書いている。「外来種の多くは、痛めつけられ、傷ついた自然が崩壊しないようにつなぎとめている」。私たちが外来種を好きになれないのは、外来種それ自体への反感というより、自然に対して人間がやってきたひどい仕打ちを思いだすからかもしれない。

外来種は本当に悪者か?より

ウガンダでは重要な輸出品のひとつだが、湖底の泥池に生息していたシクリッドという小型魚500種のうち、半分近くがナイルパーチに食べられて絶滅したとされている。
〜中略〜
ヘント大学のディルク・ヘルシュレンは、最大の原因は水質汚染ではないかと指摘する。シクリッドが激減した時期は、湖の富栄養化が進行した時期と重なる。そのせいでホテイアオイは大繁茂し、湖底が酸欠状態になった。そこにナイルパーチが放流されたために、事態はいっそう悪化したというのだ。

外来種は本当に悪者か?より

私たちは住みなれた環境を再現したいと願って、外来種を新天地に持っていく。そして期待どおりにならないと、外来種を悪者にする。生態系が崩れたり、自分たちの要求が満たされないと、外来種に罪を着せるのだ。だが話はそれほど単純ではない。人間が大量移住してきただけで自然の景観は混乱のるつぼと化し、すべてが変わってしまう。外来種が加わることで生き物の種類は確実に増えるし、一部の種が絶滅しても、それを補って余りある外来種が入ってくる。その結果、生物多様性は高まる。消えていった生き物をいくら惜しんだところで、もう以前の状態に戻ることはできない。

外来種は本当に悪者か?より

ゴミも外来種を運ぶ

イギリス南極観測所に所属する動物学者デヴィッド・バーンズは、北極のスピッツベルゲン島から、南極海に浮かぶシグニー島、太平洋のガラパゴス諸島、大西洋のアセンション島と、遠く離れた島々の海岸で、漂着物を調べてみた。すると流れついたごみの半分以上は人間由来のもので、しかも蠕虫やアリ、フジツボ、稚魚、昆虫が棲みついていた。ごみの数が多いのは南極海で、流れつく海岸が少なく、南極環流に乗っていつまでも漂っているからだと思われる。

外来種は本当に悪者か?より

ゴミ自体が環境に良くないのは明らかですが、そのゴミが外来種を運ぶ船になっている場合もあります。
ゴミはちゃんと処理する人間になりたいですね。

良い外来種は取り上げられない

「自然界の小さな農夫」と呼ばれ、土を耕して肥沃にするミミズも旧世界からの外来種だ。ほとんどの人は知らないだろうが、そうなのである。カナダおよびアメリカ合衆国北部には、もともとミミズはいなかった。

外来種は本当に悪者か?より

外来種は悪者という前提から出発し、その見立てに合うテーマしか取りあげない。
〜中略〜
実際に研究者たちの業績を調べてみると、ほんとうにそのとおりだった。2008年に侵入生物学の各専門誌に発表された論文では、10本以上に取りあげられている外来種が49種あった。どれも厄介者として有名なものばかりだ。
〜中略〜
同じくらい脅威があっても、研究対象になったことのない種は山ほどあるはず。また、基本的に、外来侵入種の90パーセントはすぐに姿を消し、悪さをするのは残り10パーセント前後だ。

外来種は本当に悪者か?より

研究や論文の世界でも、普通のことを取り上げるだけでは注目されないのでしょうか。
外来種+悪いやつ
という図式がわかりやすくて良いのでしょうかね。

ここでは、外来種がいかなる意味でも悪ではなく、本質的に在来種と区別ができないという意見を見ていこう。こちらもそれなりの根拠があるし、何よりはるかに偏りがない立場だ。外来種も在来種も、状況しだいでは害悪になるし、外来種も在来種と同様に良いことをする場合もある。外来種であるがゆえに問題を起こすことはあるが、いっぽうで弱ってきた生態系を復活させたり、在来種のために新しい居場所をつくってやったり、生態系に貢献したりもするのだ。はっきりした短所がないのであれば、長所に目を向けるのが合理的な態度だろう。

外来種は本当に悪者か?より

危険な外来種もいるのは事実だが

体長は最大で15センチ、重さ1.4キロにもなるオオヒキガエルは、ふつうのカエルよりはるかに巨大だが、問題は大きさではなく、耳腺から猛毒を分泌することだ。

外来種は本当に悪者か?より

オーストラリアでは在来種のワニやトカゲ、ヘビなどが外来種のオオヒキガエルに毒があることを知らないで食べてしまうという問題が起こりました。
その結果、ワニやトカゲ、ヘビなどは大量に死んだそうです。

この問題により、生態系が崩れると思われたようですが、毒があることを学んだ動物も多く、足だけ噛み切って食べたり、毒を出す耳腺に触れないように腹やのどから攻撃するものも現れたそうです。

また、オオヒキガエルの生息する地域にいるブラックスネークの仲間はわずか数世代で顎部が小さくなり、毒性を持たない小さなカエルしか食べられないようになったりもしたようです。

動物の進化・知恵はあなどれないですね。

外来種のおかげで多様性は増す

ブラウン大学のドヴ・サックスは、世界の離島で起きている外来種侵入を調べてみた。するとたしかに鳥類の数が減少している場合もあるが、植物多様性はおおむね上昇していることがわかった。

外来種は本当に悪者か?より

絶滅が危惧される弱い生き物を保護するだけでは、進化にブレーキをかけ、適応に冷水を浴びせることになる。自然の再生を後押しするのであれば、変化を抑えこもうとするのではなく、むしろ助長しなくてはならない。

外来種は本当に悪者か?より

人間は結局のところ、自分が好きだったり、自分の目的にかなったものに手を出したいし、守りたいのだ。害虫や病気、場所をふさぐわずらわしい侵入者、愛してやまない自然の破壊者からわが身を守らなければならないこともある。お気にいりの動植物は大切にしたいと思うのが人情だ。ジャイアントパンダ、スマトラサイ、カリフォルニアコンドルなど、すでに人間の保護がないと生きのびられない動物もいる。それ自体は悪いことではない。彼らが生きているということは、私たちにとって大切な意味がある。ただ、それが自然のこれからあるべき姿だと思ってはいけない。希少動物の保護はあくまで人間の欲求を満たすためであって、自然が求めているわけではないのだ。

外来種は本当に悪者か?より

希少種を守るのは意味があることかもしれません。
しかし、それが自然のあるべき姿ではないということですね。
どこまで、人間が関与すべき問題なので難しいところです。

外来種は本当に悪者か?の感想まとめ

著者の主張を一言でまとめると、
「在来種が多少減少したとしても、多くの外来種が入ってくれば、生態系は良くなる」
といった感じでしょうか。

人間は結局のところ、自分が好きだったり、自分の目的にかなったものに手を出したいし、守りたいのだ。害虫や病気、場所をふさぐわずらわしい侵入者、愛してやまない自然の破壊者からわが身を守らなければならないこともある。お気にいりの動植物は大切にしたいと思うのが人情だ。ジャイアントパンダ、スマトラサイ、カリフォルニアコンドルなど、すでに人間の保護がないと生きのびられない動物もいる。それ自体は悪いことではない。彼らが生きているということは、私たちにとって大切な意味がある。ただ、それが自然のこれからあるべき姿だと思ってはいけない。希少動物の保護はあくまで人間の欲求を満たすためであって、自然が求めているわけではないのだ。

外来種は本当に悪者か?より

まぁ、考え方は人それぞれで、どんな人でもバイアスはかかっているでしょう。
私は、毒を持っている外来種は増えて欲しくない。程度の考えです。
あたなはいかがでしょうか?

スポンサードリンク
フォローしていただけると喜びます。
Return Top